たとえ十分な筋力をつけていても、歩き方一つで、膝にかかる負担は天と地ほど変わってきます。特に、痛みが多発する下山時には、意識的に「膝に優しい歩き方」を実践することが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。まず、最も基本的な原則が、「歩幅は小さく、ゆっくりと」です。歩幅を大きくすると、着地時の衝撃が大きくなるだけでなく、膝が伸び切った状態で着地しやすくなり、関節への負担がダイレクトに伝わってしまいます。小股で、常に膝が軽く曲がった「クッション」を使える状態を保ちながら、一歩一歩、丁寧に足を運ぶことを心がけましょう。次に、「着地の仕方」です。かかとから、ドスンと衝撃的に着地するのは最悪です。足の裏全体で、地面をそっと掴むように、柔らかく着地する(フラットフッティング)ことを意識してください。これにより、衝撃が足裏から足首、そして膝へと、効果的に分散されます。また、急な下り坂では、体を正面に向けるのではなく、少し斜め、あるいは横向きになって、カニ歩きのように下りたり、つづら折りの登山道では、ジグザグに歩いたりするのも、膝への負担を軽減する有効なテクニックです。そして、膝痛予防の最大の味方となるのが、「トレッキングポール」の活用です。トレッキングポールを2本使うことで、上半身の力を使って体を支えることができ、膝にかかる衝撃荷重を、20%から30%も軽減できると言われています。これは、体重60kgの人であれば、1歩あたり10kg以上の負担を、腕や肩に分散させている計算になります。ただし、ポールは正しい長さで使用し、体の少し後ろにつくようにしないと、その効果を十分に発揮できません。事前に、平地で使い方を練習しておくことを強くお勧めします。これらのテクニックを駆使し、自分の体を賢く使うことが、膝の寿命を延ばし、長く登山を楽しむための秘訣です。
痛みを劇的に減らす、登山の歩き方とテクニック