登山の膝痛対策において、自分の体づくりや歩き方の工夫と同じくらい、いや、それ以上に重要なのが、適切な「装備(ギア)」の力を借りることです。特に、膝を守るという観点から、「登山靴」「トレッキングポール」「サポーター・インソール」の三つは、まさに「三種の神器」とも言える、不可欠なアイテムです。まず、「登山靴」です。スニーカーやランニングシューズで安易に山に登るのは、膝を痛めつけているようなものです。登山靴は、厚くクッション性に優れたミッドソールが、着地時の衝撃を効果的に吸収してくれます。また、足首までしっかりとホールドしてくれるハイカットやミドルカットのモデルは、下り坂での足首のぐらつきを防ぎ、膝へのねじれのストレスを軽減してくれます。自分の足の形に合った、適切なサイズの靴を選ぶことが、全ての基本となります。次に、何度も強調しますが、「トレッキングポール」です。これは、もはや中高年のための杖ではありません。膝の負担を上半身に分散させ、安全に、そして楽に下るための、全ての世代の登山者にとっての必須装備です。2本使うことで、バランスも取りやすくなり、転倒のリスクも大幅に減少します。まだ使ったことがない人は、一度レンタルなどで試してみてください。その劇的な効果に、きっと驚くはずです。最後に、補助的な役割として、「サポーター」と「インソール」が挙げられます。膝サポーターは、膝関節の左右のブレを抑制し、安定感を高めてくれます。ただし、締め付けが強すぎると血行を妨げるため、サイズ選びは慎重に行いましょう。また、「インソール(中敷き)」も、見過ごせない重要なアイテムです。元々入っているインソールを、クッション性やサポート性の高い、登山用のものに交換するだけで、足裏からの衝撃は大きく緩和されます。特に、O脚やX脚、扁平足など、足のアライメントに癖がある人は、自分の足に合わせて作製するカスタムインソールを利用することで、膝への負担を根本から改善できる場合もあります。装備への投資は、あなたの膝の未来への、最も賢明な投資なのです。
膝痛予防の三種の神器、装備で膝を守る