ピラティスが腰痛改善に高い効果を発揮することは、多くの研究や事例で示されています。しかし、ここで一つ、明確にしておかなければならない重要なことがあります。それは、「ピラティスは医療行為ではなく、治療そのものではない」ということです。ピラティスは、あくまで運動療法やコンディショニングの一環であり、医師の診断や治療に取って代わるものではありません。腰痛の原因が、医療的な介入を必要とする疾患(重度のヘルニアや感染症、腫瘍など)であった場合、ピラティスだけでそれを治すことはできません。だからこそ、ピラティスを始める前には、まず整形外科などで、自分の腰痛の原因を正確に診断してもらうことが、安全のための大前提となります。その上で、医師から運動療法が許可された場合に、ピラティスは、その回復をサポートし、再発を予防するための、極めて有効なツールとなり得るのです。また、ピラティスに、痛み止めの注射のような「即効性」を期待してはいけません。ピラティスは、長年の体の癖や、衰えてしまった筋肉を、少しずつ再教育していく、地道なプロセスです。効果を実感できるまでには、通常、週に1〜2回のペースで、最低でも3ヶ月程度の継続が必要とされています。焦らず、自分の体の小さな変化を楽しみながら、コツコツと続けていくことが、結果的に、腰痛からの根本的な解放へと繋がります。そして、ピラティスの世界には、「No Pain, No Gain(痛みなくして、得るものなし)」という言葉は存在しません。エクササイズ中に、もし腰に鋭い痛みや違和感を感じた場合は、それは「間違った動き」をしているサインです。決して我慢せず、すぐに動きを中止し、インストラクターに伝えましょう。ピラティスは、痛みと戦うのではなく、痛みと対話し、その原因を紐解いていく、賢明な体の使い方を学ぶためのメソッドなのです。
ピラティスは治療ではない、正しい位置づけと継続の重要性