登山後の膝の痛みは、多くの人が経験するものですが、その痛みが、単なる筋肉の疲労(筋肉痛)なのか、それとも、軟骨のすり減りや靭帯の損傷といった、医療的な介入を必要とする「危険信号」なのかを、見極めることが重要です。筋肉痛であれば、通常、2〜3日から、長くても1週間程度で、痛みは自然に和らいでいきます。しかし、以下に挙げるような症状が見られる場合は、放置せずに、整形外科、特に膝関節を専門とする医師の診察を受けることを、強くお勧めします。まず第一に、「痛みが長引く」場合です。1週間以上経っても痛みが全く改善しない、あるいは、むしろ悪化している場合は、単なる筋肉疲労ではない可能性があります。第二に、「腫れや熱感を伴う」場合です。膝が、反対側の足と比べて、明らかに腫れぼったかったり、触ってみて熱を持っている感じがしたりするのは、関節の内部で、炎症が起きているサインです。第三に、「可動域の制限」がある場合です。「膝が完全に伸ばせない」「正座ができない」といった、動きの制限は、関節内部に水が溜まっていたり(関節水腫)、半月板などが引っかかっていたりする可能性があります。第四に、「特定の動作で、鋭い痛みが走る、あるいは、引っかかりやロッキング(膝が動かなくなる)を感じる」場合です。階段の上り下りや、方向転換の際に、ズキッとした鋭痛や、何かが挟まるような感覚があるのは、半月板損傷や軟骨損傷の典型的な症状です。最後に、「膝がガクッと崩れるような、不安定感(膝崩れ)がある」場合です。これは、膝を支える靭帯(特に前十字靭帯など)が、損傷している可能性を示唆します。これらのサインは、あなたの膝が発している、明らかなSOSです。「また山に行きたいから」と、痛みを我慢したり、自己判断でごまかしたりせず、一度、専門家による正確な診断を受け、自分の膝の状態を正しく把握することが、長く安全に登山を楽しむための、最も大切な一歩となります。
それは筋肉痛?それとも危険信号?病院へ行くべき膝痛の見分け方